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「名誉のブーイング」は名言だと思ったが

国会

小泉進次郎氏が参議院の公選法の改正案に賛成票を投じ、それに対して「造反」を期待していた野党から起こったブーイングを「名誉のブーイング」などと発言した一連の言動について、批判的な意見が出ているようです。

参議院の定数を6増やす公選法の改正案は、どう考えても無茶苦茶であり、到底肯定できるものではないことは、言うまでもありません。
他にも、盛り込まれた受動喫煙対策が実効性がないものになり、ザル法と言わざるを得ないものとなった健康増進法改正案のこともあるし、IRカジノ法案もずさんな内容です。自民党が強引に決めていく法案にいらだつ気持ちは、わたしも一緒です。

しかし、それに進次郎氏の行動を巻き込んで「期待はずれ」「失望した」とするのは、ちょっと違う気もします。
「名誉のブーイング」という言葉は、わたしはよく出てきたなと感じたし、きちんと法案に対する不快感を示せた言葉で、彼の現在のポジションの中から、最大限の言動をしたのではないかと感じました。
彼のような重要人物が、政党という組織の中で党議拘束に背くことの重大性を考えれば、問題は「今、それをするタイミングか?」ということでしょう。

加藤の乱

2000年の内閣不信任決議案に対する、いわゆる「加藤の乱」という政局がありました。
この政局の主役、加藤紘一氏の自民党への造反の動きに対して、山崎拓氏とともに「YKK」として近い関係だった、進次郎氏の父小泉純一郎元首相。行動を共にすると思われました。
しかし、「今はその時ではない」として同調せず、自重するように呼びかけたと記憶しています。
この政局が、翌年の自民党総裁選で、万年泡沫候補だった純一郎氏を総裁当選に導き、総理大臣に押し上げます。
のちの「自民党をぶっ壊しますよ!」につながったことは間違いないでしょう。

親としての決断

小泉純一郎氏は、最近では小沢一郎氏と近づき、反原発活動を継続しています。
進次郎氏は、父親とは別路線というイメージを保とうとしています。

純一郎氏が晩節を汚しているとする方もいますが、常に世論を意識し、利用してきた彼が、ビジョンもなく自己満足で動いているとは、とても思えないのです。
純一郎氏は、親として進次郎氏の将来を見すえた行動をしているのではないか。

自民党という組織にいて、言動には制限がある進次郎氏に対し、すでに自民党とは距離を取れる純一郎氏は、はっきりした安倍政権批判まで始めています。
自民党がいつまでも今と同じ支持を受け続けるとは限らず、将来的に分裂などの政局を迎えたら、その時にあり得る争点は原発問題と考えているのでしょうか。進次郎氏の将来の方向性のための下地を作ろうとしているように見えます。

まだ37歳で若い進次郎氏。政治家としての本番は10年後と考えれば、とりうる選択肢を増やす意味の活動である可能性はあるでしょう。

二大政党制は自民党が分裂するしか無い

二大政党制が望ましいという主張は、多くの政治家が共通して言うことです。
しかし、選挙制度まで変えても、自民党の一党支配は崩れませんでした。
モリカケ問題などに貴重な時間を浪費し、重要な政策の議論もできず、ただ政権批判だけを繰り返している維新以外の野党には、さすがに国民も呆れ果てています。支持率の推移を見てもそれは明らかでしょう。

今後も、今の野党が変わって、自民党に対峙するようなことはきっと無いでしょう。
二大政党制がもし実現するならば、自民党が分裂するしか実現の道は無い。
大阪では、自民党の分裂により維新の会ができて、ひとあし早くその状態が実現しました。
時間はしばらくかかっても、国でも同様の動きになるのではないかと、わたしは思っています。
それは10年、20年先かもしれないですが、意外に早いこともあるかもしれません。

局所的な話としてみれば憤慨することでも、より大きな視点で見れば、これが政治とも見えてきます。
「その時ではない」と判断した進次郎氏の慎重な行動を、ここでは評価しておくのが良いのではと感じた次第です。

Kokkai

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