残念ながら政策によって選挙結果は変わらない

政局の混乱が凄まじいですね。
政界再編(死語)、政権交代(死語)って感じだったのが、この1週間でたちまち現実的な話となり、もしかすると今回の総選挙で近いところまで進む可能性も出てきました。

小林良彰「政権交代」中公新書、2012

2009年の民主党が政権交代により与党になった過程と結果を分析した研究結果から、慶應大学の政治学の先生がまとめたものです。
政権交代の可能性がちょっとでも出てきた今回の選挙で、選挙結果に影響を与えるものは、果たして「政策」でしょうか?
参考になりそうな部分を、最初に引用してみます。

残念ながら政策によって選挙結果は変わらない

民主主義において選挙に影響してほしいものを有権者が考えると、

(1)どういう政策をその候補者が示しているかによって選出され
(2)言ったことをちゃんとやってるかを評価し
(3)次の選挙で満足度によって投票する

といった行動になるのが理想でしょう。

しかしながら、選挙結果を分析すると、全くそうなっていないことがわかります。

選挙で民意は負託されるか

・ほとんどの選挙公約は候補者の得票率や当落に影響していない
・どの政党に所属しているかは選挙結果を決める重要な要因となっている
・候補者の年齢・性別・学歴などの社会属性は結果に影響しない
・争点に対する態度は影響しない
・増税と憲法改正に対する姿勢は少しだけ関連するが、政党支持の影響に比べるべくもない

加えてですが、都議会議員選挙や区長選などの地方選挙において、本来重要視されるべき「地域争点」についても、選挙ではあまり結果に関係しないこともわかっています。
地方選挙においても、選挙結果を左右するのは「どの政党に属しているか」がほとんどであり、残念ながら大部分の候補者においては、活動や資質が選挙結果に影響することは少ないのです。

公約が守られているか

・自民党や公明党の政治家の公約と活動の一致度は相対的に高い
・民主党の政治家の公約と活動の一致度は低い

国会活動は次の選挙に反映されたか

・民主党の候補者だけを取り出すと、活動と公約の一致度が低いほど得票が高い
・自民党の政治家だけを取り出すと、活動と公約の一致度と得票には関連性は無い

公約を守らないほうが次の選挙で選ばれるって。
なんだそれ、という話ですが・・・

政治家ってなんなんでしょうね?
有権者が悪いということになるんでしょうが。

 

民進党所属だった候補者のチェックポイントは選挙資金の出どころ

さて、ここから、今回の選挙について考えてみます。
なんと言っても驚いたのが、野党第一党だった民進党が無くなっちゃったことですね。

今朝のTV番組「ウェークアップぷらす」で、希望の党・若狭勝さんに辛坊治郎さんが突っ込んでいたのは、民進党の政党交付金についてです。
若狭さんは、「民進党の政党交付金は使わない」と明言されていましたが、一方で、「民進党の候補者のお金の出どころまでは知らない」とも言っています。

つまり、民進党を離党した候補者が、民進党の政党交付金に由来する資金を、供託金の600万円他莫大な選挙資金として提供され、選挙に出てくる可能性はあると言うことです。
政党交付金は民進党に交付されたもので、民進党が無くなる以上返さないといけませんし、離党した議員に渡るのは全くもっておかしいです。

確かめる方法は選挙前にはありませんが、選挙後に提出される「収支報告」には載せる必要があり、誰でも見ることは可能です。
各候補者に選挙中にしっかり質問し、正しておく必要があります。

維新の会に足りなかった政治的有効性感覚

小林良彰他「代議制民主主義の計量分析」木鐸社、2016

「政権交代」と同じ著者らの書籍を読むと、政治的有効性感覚という単語が出てきます。

政治的有効性感覚とは、「自分の行動が政治に影響を与えることができる」という個人の感覚です。
これが、投票率や関心の高さにつながります。

2012年総選挙時に、一定の支持を受けた維新の会が、その後支持率を下げたのは、「何かできるかも」という有権者の期待が下がったからです。
支持してくれた有権者の「政治的有効性感覚」が下がってしまいました。

同様に、政権が交代しそうだと有権者が感じ、支持した政党が政治に影響力を持ちそうだと思うかどうかが、今回の有権者の投票行動に大きく影響すると言うことです。
新党が選挙結果に勝利を見出すのは政策ではなく、有権者が「勝つかも」と考えることであり、それが希望の党の「希望」と言えます。

都知事の責務を果たしていないという批判は当然起こるでしょうが、「勝つかもしれない」と思われていなければ、より支持を失うのですから、小池都知事は都知事を辞めて総選挙に出馬する選択がおそらく正しいと思われます。希望の党が与党になったら、その先に小池総理があると感じさせることが、戦略上必要になるのかもしれません。

また、維新の会にとっては、大都市間の連携で国政に大きな腕力を持つことができ、この政治的有効性感覚を有権者が持つことを考えると、希望の党との連携には、大きなメリットが有ると思います。
連携によって、維新の会の支持率も、大きく回復すると考えます。

受動喫煙防止法成立に期待する

若狭さんもたびたびコメントされていますが、受動喫煙防止の問題は、細かいトピックといえども重要です。
小池都知事が進めている「受動喫煙防止条例」は、国が様々な理由でできないことを、都が先駆けて行い国政に影響を与える、象徴的な政策です。
僭越ながら、わたしも2013年の都議選の時から「都が先に制定することで国でもできる」と訴えてきました。

都民ファーストの躍進で、絶望的と思われていた受動喫煙防止条例も制定されそうです。
次は、国で受動喫煙防止法を制定すべきで、受動喫煙対策に熱心な小池さんが国政に戻る意味は大きいと思います。

自民党の中には根強い反対派がいて、なかなか進みませんが、非常に熱心にこの問題に取り組んでいる議員も少なからずいます。
もし希望の党が与党になれなくても、大きく議席を持っていれば、この問題に関してだけ野党に協力して、受動喫煙防止法の制定に動く自民党議員が出てくる可能性があります。

希望の党の松沢成文参議院議員と小池さんに、三原じゅん子参議院議員や塩崎恭久元厚労大臣などが協力して進めてくれれば、なんとか成立するんではないだろうか。大きな期待を持って見守りたいと思っています。

 

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