待機児童と女性の多様な働き方

世田谷区では、育児休暇明けに保育園入所を申請するときに、入園選考の特別なルールがあります。
保護者が会社の短時間勤務(短時間勤務でも正社員として扱われる制度)を利用する場合に、何歳まで利用するかが問題です。
4歳までの利用ならフルタイムの人と同じ優先順位になりますが、5歳まで利用する人はフルタイムの人より優先順位が下がります。
待機児童があふれる中、入所の優先順位が下がるという事は、保育園に入所できなくなる確率が高くなりますから、事実上、4歳までしか短時間勤務は使えないという事です。

2013年2月には、保育園に通う親が作る会が、多様な働き方が認められない制度はおかしいとして、世田谷区に対し見直しを求めました。

この例にみられるように、日本では柔軟な働き方への対応が遅れていると言えます。
多様な働き方が出来るように、企業の短時間勤務制度を整えてきても、制度が事実上使えないなら意味がありません。
優先順位を上げ、保育園に入所できるようにする目的で、無理に子どもを小さな時期から預けたり、希望より長時間働くようにする事は、やはりおかしいですね。

保育園

フランスでは、社会全体で多様な働き方ができる環境を作りあげてきました。
出産後の働き方についても、自由に選択する事ができます。
全面的に休む事も可能ですし、週3日や4日勤務、毎日午後3時までに短縮するなど、労働時間数をライフスタイルによって選択することができます。

そして、休職や労働時間を短縮した場合は「就業自由選択補足手当」と呼ばれる制度によって賃金が補助されます。
手当額は完全に休む場合は約7万円、受給期間は6ヶ月から最長3年で、子どもの数によっても変わります。

この制度の良い点は、日本のように、「雇用保険の被保険者であること」を受給要件としていないため、直近で働いていなくても受給可能な点です。
例えば2人目の場合、過去4年間の間に2年間の年金加入期間があれば受給可能となります。

また、公立の保育所を利用するのか、保育ママ(※記事下部に説明)を利用するのか選択が可能です。
もし、保育ママを利用すると利用料は割高になりますが、「保育方法自由選択補足手当」により差額が補填されます。
公立の保育所の充足率は低いですが、それに変わる保育方法が充実しており、特に保育ママの存在が重要になっています。

保育ママは、従来女性が家庭内で担ってきた家事育児介護などをアウトソーシング化するもので、女性の失業対策にもなっています。
以下のグラフからもわかるように、日本では出産とともにいったん仕事を辞め、子育てが一段落してから再就職する女性が多いです。
しかし、フランスやスウェーデンでは出産直後も仕事を辞めず、育児との両立をしています。

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女性が多種多様な働き方を選択でき、誰もが育児に参加しやすい社会を作らなければ、日本はいつまでも女性の労働力を活用する事は出来ません。
4人を育てながら働く女性として、不便に感じる事を解決し、あったらいいなを制度化していきます。
目指せ子育て先進国!

 

※(参考)保育ママについて

フランスの保育ママ
一定の要件を備えた者を「保育ママ」として認定、登録する制度。
3歳未満の子供を最高3人まで自宅で預かることができる。

1977年に「認定保育ママ」資格が法で定めされ、1979年の通達により制度化される。
認定を受けた保育ママは、親と雇用契約を結び、その親の家かもしくは自分の家で子どもの世話をする。

日本の保育ママ
乳児又は幼児について、家庭的保育者の居宅その他の場所において、家庭的保育者による保育を行う事業。
1人の保育ママが預かることができるのは3人以内。
ただし、家庭的保育者が補助者を雇用した場合、5人まで預かることができる。
家庭的保育者になるには、区市町村の認定を受ける必要がある。
区市町村による認定に際して、年齢、一定の資格(保育士、教員、助産師、保健師、看護師など)、
又特定の研修修了等の要件を満たす必要がある。

 

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